大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

名古屋高等裁判所金沢支部 昭和24年(控)971号 判決

被告人

釣俊彌

主文

原判決を破棄する。

本件を高岡簡易裁判所に差戻す。

理由

弁護人宮林敏雄控訴趣意について。

記録を精査するに原審公判調書中被告人の供述記載司法巡査作成に係る第一の窃盜の被害者小杉善造に対する供述調書中の供述記載によれば被告人と小杉善造との間に親族関係があることが看取し得られるのであるが、右小杉善造の供述記載によれば被告人の窃取した板硝子十五枚位は其の所有並占有共に右小杉に属しているものか或は其の占有は信和組に属しているものか甚だ明瞭を欠くのみならず他に其の所有並占有の関係を明らかならしめる証拠がないから更にこれ等の点に審理を盡してその所有並占有関係を明瞭ならしめ親族相盜にならないかどうかを判然せしめなければならない。若し親族相盜になるとすれば告訴が必要であり告訴が無ければ公訴棄却を爲さねばならぬ関係になる、然るに原審がこれ等の点に関する審理を十分に盡さないで親族相盜に当らないものとして判決を爲したのは審理不盡の譏を免れない。以上の点の不明のまゝ判決を爲したのは違法であり右は原判決に影響を及ぼすこと勿論であつてこの点論旨は理由があり原判決は此の点において破棄を免れない。

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例